1671年10月31日、ホーンテッドマンションは Ub van der Iwerks というオランダ人の市長(ブルガマイスター)によって建てられました。
町の長老たちから神聖なインドの埋葬地を汚すなという警告を受けていたにもかかわらず、
川を見下ろす丘を建設地として選びました。建設中は、原因不明の事故に悩まされたりしましたが、1671年10月31日に無事完成し、家族と共にこの 館に引っ越してきました。
しかし、市長はこの館に引っ越してきてから気がおかしくなり、墓地に自らを密閉しました。
それにより、ヴァン一家はこの館から出て行くことになりました。
その後10年間、この館はホームレスの溜まり場や兵舎として利用されました。
1871年、その土地の有力者であるロナルド・スティーヴンズにこの館の権利が渡りました。
ロナルドは館の修復工事を始めましたが、以前と同じく原因不明の事故が多発し、石工のフレッドが落石で事故死しましたが、ロナルドが石工の仕事を引き継ぎました。
1871年10月31日、スティーヴンズ一家がこの館に引っ越してきた直後、ロナルドは心を失ったようになり、墓石に自分の名前を刻んだ日にボイラーの爆発で死亡。
彼の遺体は“SNEVETS NOR”と記された墓碑銘の下に埋められました。
ロナルドの死後スティーヴンズ一家はアメリカ降霊術協会に館を売り。
協会は館のあるひとつの部屋を降霊術の会のための部屋に変え、夜中に霊を呼び出すために使われました。
1914年の協会の解散までに降霊の回数は900回を超えました。
その後、館はジョージ・グレイシーへと渡されました。
肖像画の男性はこの館の主人であるゴーストホスト(マスター・ジョージ・グレイシー)です。
最初は普通の絵なのですがどんどん老いていって最後には白骨化してしまいます。
マスター・グレイシーは有名な学校へ通っていました。寄宿学校に行ってたので、父であるジョージ・グレイシーのことを知る由はありませんでした。父親が殺害された後、彼は館へと引っ越してきました。そこで父のことを知ると、オカルト現象を目にするようになりました。
最初の妻であるリリアン(後述しますが、伸びる部屋でワニの上で綱渡りをしている女性です)とはカーニバルで出会いました。彼女はサーカスで綱渡りをしていました。
結婚後マスター・グレイシーは、ニューオーリンズでマダム・レオタと会い、彼女を館に住まわせました。
それから、この2人は降霊を行ったり死者と会話をする儀式などをし、マスター・グレイシーはだんだんとオカルト現象に夢中になり、財産をそれらに費やすようになりました。妻のリリアンはマダム・レオタに嫉妬し、マスター・グレイシーにレオタから離れるように言いましたが、彼は聞く耳を持ちませんでした。
その後、リリアンは死亡し、マスター・グレイシーはますます超常現象に財産を費やしました。資金ほしさに、彼はエミリーを2番目の妻として迎えました。彼女はこのとき16歳でしたが、両親は共に亡くなっており、家の財産を受け継いでいました。
結婚してまもなくエミリーも死亡しました。
その後、とある理由でマスター・グレイシーは気がおかしくなり、屋根裏部屋で首をつって死亡しました。けれど、彼の声は今でも館の中に響いているのです。
まず、ダイナマイトの樽の上に立っている絵から。
この人は、主人のおじのエドワ-ド・グレイシーです。
彼は、1937年にビルマの大使に任命されました。ある日のパーティで、自分のズボンの用意ができるまで自分のスピーチに目を通していました。そのとき、武装した軍団が大使館に入ってきました。
彼は地下室へと飛び込みましたが、そこには武装した者たちの仕掛けたダイナマイトが置いてありました。
彼はダイナマイトの上に乗り、こう叫びました。「お前たちがこの建物を爆破するならば、お前たちも私と一緒に死ぬのだぞ」と。その後大使館と一緒に死にました・・・。
次に、傘をさし、ワニのいる川の上で綱渡りをしている人は、主人の最初の妻であるリリアン・マリー(メアリー)・グレイシーです。
リリアンは裕福な家庭に生まれ、両親は彼女のほしいものをすべて与えようと頑張ってきました。彼女はかなりのだだっ子になりましたが、心から本当に願っていたこと、すなわち初恋が失敗に終わると、憂うつな態度になっていきました。
15歳の時、リリアンはサーカスでアレックスという出演者に首っ丈になりました。彼女はほんの少し会えれば彼の心を奪えると思いましたが、サーカスは真夜中に町を離れ、残されたリリアンの心は打ち砕かれました。
彼女は1週間落ち込み、サーカスを追いかけようと決心しました。そして、アラバマ州モビールでそのサーカスに入団しましたが、アレックスはライオンがらみの奇妙な事件で死亡していたことがわかりました。彼を近くに感じたかったため、彼女はサーカスに残り、綱渡りを披露しました。その後、サーカスを見に来たマスター・グレイシーはリリアンに一目惚れし、プロポーズをしました。
結婚して3ヵ月後、マスター・グレイシーはマダム・レオタを館に連れてきました。その後彼女には娘ができたため、リリアンは不安になりました。彼女は夫をしょっちゅう無視し、レオタ親子は彼女にひどい嫌がらせをしました。リリアンはどんどん現実感がなくなるにつれ、うつがひどくなっていきました。
ある夜、小さなパーティでマダム・レオタはリリアンに館の近くの川の上で、かつて彼女がサーカスで行っていた綱渡りを披露するように頼みました。
リリアンはあまり乗り気ではありませんでしたが、あまりにマダムレオタが頼んでくるので結局やることにしました。
しかし、綱渡りをはじめてちょうど川の半分くらいまで来たところで、綱が切れワニの口の中へ・・・。
次に、一輪の花を持ち、墓石の上に座っているのが主人の母、メアリー・ギルバート・グレイシーです。その座っている墓石は夫のものです。メアリーは、斧で夫を殺害しました。(だから墓石の胸像に斧が刺さっているのです)
彼女はどうしてか無罪になり、ヨーロッパへ移りました。それから彼女からの連絡は途絶えたのでした・・・。
最後に、QUICK SAND(流砂)とかかれた看板があり、砂の中に埋もれながらも3人で肩車をしている人たちが、この館の使用人です。それぞれ、エイサ・ギルバート、エディ・フォスター、ダニエル・パッターソンといいます。
この3人の幼年の頃についてはほとんどわかっていません。3人とも若かった頃、同じカーニバルに加わり、すぐに仲良くなりました。全員リリアンに夢中でした。
女性に友情が壊れるようなことは絶対にさせない、と3人が誓った後、リリアンはこの若者たちを気に入って、マスター・グレイシーに、結婚したらこの3人を召使として雇うように言いました。
ギルバート、フォスター、パッターソンは館の使用人の任務を忠実にこなる一方で、主人の奇妙な行動に敬意ある距離を置きました。リリアンが『事故』で亡くなった時、3人は悲しみをこらえ、これまで以上に自分の中に思いを溜め込みました。
リリアンが亡くなってしまったので、彼らには、マスター・グレイシーに解雇されるのではないかという不安がよぎりましたが、彼は3人を家族同然に思っていたので、そんなことはありませんでした。
そんな彼らをリトル・レオタはたぶらかそうとしましたが、彼らは彼女の誘惑には乗りませんでした。
ある嵐の夜、リトル・レオタは彼らに、川の近くの雑音を調べさせました。悪魔の声が別の方向から聞こえたので、3人は暗闇の中で方向がわからなくなり、流砂にはまってしまいました。彼らは肩車をして揺れる木の枝につかまろうとしましたが、無駄な努力でした。
3人の亡霊は、霧のある朝に館の外に時々現れて仕事をこなすそうです。
また、この部屋を出る直前に首吊り死体を目撃することになりますが、彼はなぜ首吊りを図ったのか・・・その理由は後ほど紹介します。
描いた人は主人のおばElma Belle。年老いてから描いた作品と言われています。題材は館を訪れた御客さんです。
1879年、エルマ・ベルはリチャード・ベルと結婚し、彼が亡くなった1891年まで、彼女は静かな生活を送っていました。
絵画を始めたのは、収入源をつくるためでしたが、追加の絵の具を買うお金すら十分にもらえませんでした。そこで、マスター・グレイシーは館に引っ越してくるように説得しました。
彼女は絵画に真剣に取り組みはじめ、館の住人やお客様の肖像画を描くようになりました。
ところが不幸なことに、彼女は年を重ねるごとにボケはじめてきました。最初のサインは、年とったある女性からカラスを購入したことでした。それからというもの、彼女は自分の描いた絵画に話しかけるようになり、やがては、絵画とカラスにお茶で会話を交わすほどまでになってしまいました。
エルマの絵画は広く噂されるようになりました。特に見る人の目を引いたのは、彼女の目の描き方でした。まるで絵画が見ている人を目で追いかけてくるように見えたのです。
エルマは最後の絵画を、彼女の亡くなった日に完成させました。それは、ホワイエの暖炉の上にかけられているマスター・グレイシーの肖像画でした。
エルマ自身の絵画は、リチャードが亡くなってずいぶん後になってから、彼と自分の肖像画を描きました。
1920年、夕食の時にエルマはマスター・グレイシーに彼の肖像画を贈り、世話役のメイドにベッドへ連れられました。23時ごろ、エルマの部屋から悲鳴が聞こえ、館の住人全員がそこへ向かいました。着いたときには彼女は亡くなっており、そのしわだらけの手は、彼女のカラスがいる窓の下枠を指さしていました。
本やはしごが勝手に動いたり、本のページが勝手にめくれたりしている図書室には、かつて4人のゴーストライターがいました。エドガー・アラン、エリザベス・バレット、アルフレッド・ロード、ヘンリー・ワッズウォースです。
4人は、マスター・グレイシーと、彼がイェール大学在学時に会っていましたが、のちに退学しました。彼らはそれぞれの道を歩みましたが、お互いに連絡はとりあっていました。マスター・グレイシーが館へと引っ越すと、彼はバレットを個人司書として雇い、アラン、ロード、ワッズウォースは超常現象に関する珍しい本を世界中から探し出すよう雇われました。
年に一度のハロウィーンの日に4人は館の図書室に集まり、それまで探したものについて話し合いました。
ある日、そんな中で、アランがはしごに登って棚の一番上の大きな本を取ろうとしているとき、バレットはお気に入りのロッキング・チェアーに座り、『性と汚染』を読んでいました。ロードとワッズウォースは、はしごに近い床に座って、『死』という言葉の定義について話し合いながら山積みになった事典を整理していました。アランはバランスを崩し、バレットははしごを支えようと立ち上がりましたが、手遅れでした。はしごが倒れると同時に、棚にあった大量の本がすべて落ちてきました。4人は、長い間集めてきた本に押しつぶされて死亡しました。皮肉なことに、それらは自分たちが代筆した本でした。。。
マスター・グレイシーは、4人それぞれの胸像を2つずつ、館中に置くよう命じ、数年後8つの胸像はすべて図書室に置かれました。
来室者は、その大理石でできた胸像が、ねたましそうに自分の本を警護しているかのようににらみつけられているように感じるのでした。
ある話によると、日没後西の方角にアラン、バレット、ロード、ワッズウォースの亡霊が幽霊馬に乗っているのが見えるそうです。
今でも本やハシゴが動いて今に落ちてきそうなのは、霊となった彼らが動かしているのでしょうか・・・。
亡霊のピアノ弾きについて
図書室を見たあと、誰も弾いていないのに音の出ているピアノが見ますが、弾いている人はLudwig Von Baroketchといいます。
1738年、彼はスイスの小さな山の村に生まれました。ある時、村がなだれに巻き込まれ、家族は彼以外全員死亡してしまいました。それから彼はドイツのボンに移り、15歳まで作曲家の召使として働きました。彼は主人のピアノで自分の曲を作ったことから、主人に追い出されてしまいました。
裕福で有力な作曲家の家々を歩き、できる限り頼みこんで、ようやく彼は自分の夢を支援してくれる人を見つけました。しかし、その人は彼の曲に興味はなく、何年経っても彼は傑作を生み出すことができませんでした。その人は亡くなり、彼に遺産を残しましたが、彼は自分の不運を嘆き、酒に溺れました。
そんな中、彼は自分が死にかけていることに気づきました。ピアノはクモの巣とほこりにまみれていましたが、彼は作曲活動を始めました。けれど、完成する前に死神がやってきてしまいました。
彼は曲が完成するまで時間をくれるよう嘆願しました。死神は、自分にささげる曲を先に完成させたらいい、と言いました。彼は承諾し、13日間の期限を与えられました。しかし、死神にささげる曲より自分の曲を完成させることを優先してしまいました。
13日目の夜に死神がやってきました。彼は許しを請いましたが、死神は聞き入れませんでした。彼の命を奪い、永遠に死神の曲づくりに専念させる呪いをかけました。
こうして、彼のピアノは呪われました。その後、マスター・グレイシーは、マダム・レオタからお願いされてこのいわく付きのピアノを購入しました。
その後、彼の亡霊は曲を完成させるために夜になると自分のピアノにやってきているのです。
リトルレオタの婚約者でもありましたが、リトルレオタにだまされ、ドラキュラになってしまったのです。
この世に未練のある彼は、棺桶からいつも出てこようとする為、リトルレオタが釘でフタをとめているのですが、それでも出て来ようとするので、リトルレオタは毎日午後になると、釘を打ち直しているのです。
何故、リトルレオタが彼を押し込めたがっているのか、その理由は彼女だけが知っているそうです。
扉の中の亡霊たちは、リトルレオタによって閉じ込められた亡霊たちです。
夜中になるとリトルレオタは屋敷中の部屋をノックし、みんなの怖がる声を聞くことを楽しみにしています。
何度も登場していますが、水晶玉の中にいるのがマダム・レオタです。
マダム・レオタはルイジアナ州の沼地で、連れ去られたジプシーとして生まれ、ヴードゥーの信者となりました。超常現象について以外教養がなく、成長するにつれて彼女は、人は虫けら以外の何者でもなく、すべての人間は弱点があって簡単に操れる、と思うようになりました。
彼女はかなりの性悪で、よくかんしゃく玉を破裂させることで知られていました。それに加え、黙って何かを考え抜いている時がもっとも危険でした。とても悪賢かったので、村人たちは彼女を避けていました。
マダム・レオタは最終的にニューオーリンズへ引越し、手相を見たり降霊会を開くようになりました。その特殊効果は誇張されることもありますが、彼女の力は本物でした。
たくさんの人からお金を騙し取りましたが、マスター・グレイシーに出会った時は、彼女にとって絶好のチャンスでした。マダム・レオタは館へ引越しました。
マスター・グレイシーの妻、リリアンはマダム・レオタを嫌い彼女を追い出そうとしました。マダム・レオタはリリアンに、綱渡りをして死ぬよう暗示をかけました。そして、彼女はマスター・グレイシーにエミリーと結婚するよう説得しました。彼と同じように、マダム・レオタも資金がほしかったからでした。しかし、彼の人生に他の女性が入ってほしくなかったので、彼女はエミリーが隠れていたトランクの鍵を閉めました。
マダム・レオタは、もっと強力な亡霊を呼ぶために館を霊界との入り口にしようとしましたが、マスター・グレイシーはそれを断りました。その結果、彼女と口論になり、彼の妻たちはマダム・レオタに殺されたことが判明してしまいました。マスター・グレイシーは逃げようとしましたが、マダム・レオタが召使や亡霊を使って逃げ道を塞いでしまい、彼は屋根裏部屋へ追い詰められてしまいました。
彼女はマスター・グレイシーを水晶玉の中に閉じ込める呪文を唱えましたが、彼は首をつって自殺しました。そのため、呪文はマダム・レオタに跳ね返り、自分が水晶玉の中へ閉じ込められてしまいました。
今でも彼女はわずかながらパワーを使っていますが、以前ほどの威力はありません。
踊っている亡霊たち
ここで踊っているのは6組のカップルです。
彼らは不運にもマダム・レオタの催されたパーティの1つに招かれました。彼らの共通点はただひとつ、ダンスが大好きなことでした。なぜ、マダム・レオタのパーティに招待されたのかは謎に包まれています。彼らは超常現象に興味は全くありませんでした。
パーティの最中、彼らはずっと踊っていて、マダム・レオタとマスター・グレイシーのことを完全に忘れていました。
それから何時間経って、マダム・レオタの堪忍袋の緒が切れました。ブツブツつぶやき、音楽を止めて、叫びながらカップルたちに呪いをかけました。カップルたちは思わずダンスをやめ、発狂したマダム・レオタを凝視しました。すると突然、カップルたちは奇妙な感覚に襲われました。彼らは踊り始め、どんどんまわり、どんどんスピードをあげ、どんどん息を切らしてきました。
不幸なことに、どんなに頑張っても彼らはダンスをやめることができず、仕舞いには1人ずつ倒れていきました。しかし、死んでも猶予は与えられませんでした。
彼らは今日まで踊り続けています。マダム・レオタという悪魔のせいで。
この2人の紳士は、Etienne Lalaurie、Antione Germaineといいます。
彼らは生まれた時から近所に住んでいて、大の親友でした。酒を飲んだり、賭けをするのも一緒でした。2人とも裕福な家柄だったので、彼らは最高の教育を受けました。共にいろいろな学校へ行き、自己防衛の武術の決戦法や、騎士道などを教わりました。
2人の共通の友人のあるパーティで、彼らは悪魔のマダム・レオタと知り合いになりました。最初に1人が彼女と踊り、次にもう1人が踊りました。その時、彼女は2人それぞれに悪意のある約束と嘘をささやいていました。
帰り道に、2人の紳士は今晩勝ち得た女性の愛についての話をしあいました。その時、マダム・レオタの言った中傷的な嘘が持ち出されました。彼らはお互いにプライドをかけた決闘をすることになってしまいました。
2人はピストルを発砲し、同時に倒れました。死にかけている時になって嘘がわかり、マダム・レオタに復讐することをお互いに誓い合い、死亡しました。
彼らは今でも館に現れ、マダム・レオタを探しています。
この部屋でウエディングドレスを着た亡霊が、マスター・グレイシーの2番目の妻、エミリー・キャバノフ・グレイシーです。
彼女はロードアイランドの裕福な家庭に生まれました。小さな子どもの頃から、彼女は家の全財産を受け継ぐように決められていました。しかし、彼女の両親にとっては残念なことに、彼女は気まぐれで、何時間もいなくなっては、花や壁紙の模様をじっと見つめていました。両親は彼女に、自分の身分の責任を教えるのに必死でしたが、彼女は自分の立場の重さを理解することを拒みました。
エミリーの両親は突然、暴走した馬車にひかれて死亡してしまい、キャバノフ家の全財産は、未熟な彼女にのしかかりました。葬式の時、彼女はマスター・グレイシーに出会いました。彼は妻を最近亡くしたばかりで、妻の魂を慰め、成仏させようと腹を決めていたところでした。感受性の強い16歳の少女であるエミリーは、彼の権威ある姿とその少年のような顔を見て、たちまち恋に落ちました。彼が結婚を申し込んだ時、何も知らないエミリーは喜んで承諾しました。
結婚式はとても素敵で、花嫁は輝いていました。事件は、ハネムーンの最中にグレイシー家の館で起こりました。マダム・レオタは若い花嫁を待っていました。彼女を始末できるまで時間をつぶしていました。
彼女は若くてまだやんちゃだったので、花婿と一緒にかくれんぼをしました。このハネムーンゲームを始めたかったため、ウエディングドレスを脱いで着替えることすら待てませんでした。気がつくと、屋根裏部屋におり、マスター・グレイシーがエミリーを呼んでいる声も聞こえたので、彼女はさっとトランクの中に隠れました。中は居心地がよくなく、息が詰まりそうだったので、彼女は出ようとしましたが、金属のこすれる音が聞こえました。マダム・レオタが機会を狙い、トランクの鍵を閉めてしまいました。かわいそうなことに、若い花嫁は窒息死してしまいました。
そして彼女は当時のときめきが止まらないのか、亡霊になった今でも心臓の音を悲しそうに鳴らしているのです。
自分を殺したトランクのそばに立って・・・。
ここでは、歌っている胸像について紹介します。
彼らは、シャーマン・サール、リチャード・レイブンズ、ロバート・クロフト、ダンセン・シング、オムニー・バスといいます。 マスター・グレイシーが学生だった頃のイェール・グリークラブのメンバーでした。この5人は自分たちでグループを作り、数々の行事で曲を披露しました。彼らの五重唱は、もっとも人気のある見世物でした。彼らはクラスメートのマスター・グレイシーに、この五重唱団の覚えやすい名前を考えてくれるよう頼みました。5人の声はマシュマロのように心地よかったので、彼はマロー・メンと名づけました。
5人は、卒業後も少しの間活動を続けましたが、結局、それぞれの道を歩まねばなりませんでした。サールはラジオアナウンサーになり、レイブンズとクロフトは2人で協力してソングライターに、シングとバスはヴォードヴィルになりました。
1934年、マスター・グレイシーは5人の再結成のため、彼らを館へ呼びました。彼は、パーティで昔やった五重唱を披露するようマロー・メンに提案しました。更に、サールはその夜の余興のため、館からのラジオ放送の支度をしました。
準備は万端でしたが、不吉な雷雨が発生しました。シングとバスは館の不気味な雰囲気の中、お客の笑いをとっていました。ラジオショーでは、サールの低いナレーションで、2人のティーンエイジャーがお化け屋敷を探検しているドラマを放送していました。
5人のショーが続く中、マロー・メンはこの時のためにレイブンズとクロフトの作った曲、『グリム・グリニング・ゴースト』を披露しました。それはすぐに終わってしまったので、サール、レイブンズ、クロフト、シング、バスはアンコールに応えるため、マイクの方へ行きました。ちょうどその時、雷が屋根のアンテナにあたり、5人は感電死してしまいました。
5人の遺体は館の墓場に埋められました。責任を感じていたため、マスター・グレイシーはマロー・メンの胸像をつくらせて、5人の墓の所へ置くよう命じました。彼はさらに、エディ・フォスターに胸像の前に垣根を作って5人がステージ上にいるように見せ、背景としてポプラを植えさせました。
3年後、ジョーンズ・ファミリー・オペラ・シンガーズの最後の演奏で、サースの胸像が落ちてしまいました。5年後にその胸像をエイサ・ギルバートが直しましたが、マスター・グレイシーの犬、ヘルハウンドがまた壊してしまいました。
あの5人の胸像はそれ以来そのままになっています。
勝手に乗り込んでくる3人のヒッチハイカーについて、それぞれ紹介します。
ガス・グレイシーは3人の中で一番小さい人で、サー・ジョージ・グレイシーの2番目のいとこです。
彼は、オハイオ州にあるグレイシー家の分家として生まれました。生まれつき小人のような姿で、異常な性格の持ち主でした。彼は何回か家族のペットを殺し、血のつながった兄弟をも殺害しようとしたことが何回かありました。彼の両親は、そんな彼を精神異常者の施設へ収容させましたが、数年後彼は脱走しました。
両親はガスから逃げようと引越しましたが、彼は、両親がどこへ行こうとも追いかけました。その間に、ガスはたくさんの人や動物に危害を加えたり殺したりしました。彼は、自分についている鉄の球や鎖で人や動物を殴って、ヒステリックな笑い声をあげることに、喜びを感じていました。人を殴り倒して、その人の脚に鎖をまいて、「さァ、お前はガスサイズになるぞ!」と叫びました。
ガスは両親に手紙を出し、ついに2人を捕まえました。両親は彼を木箱に閉じ込めておこうとしましたが、逆に殺されてしまいました。その後、サー・ジョージ・グレイシーにより屋敷に招かれました。
ジョージ・グレイシーはガスの、内に秘めた脅威を感じ、彼を館に閉じ込めました。マスター・グレイシーが館を受け継いだとき、彼はガスの監禁も委任されたことに気がつきました。ガスがこれ以上グレイシー家の世間の名声を傷つけないことを確実にするため、マスター・グレイシーはマダム・レオタに解決法を相談しました。彼女はガスに呪いをかけ、館の境界線より出ると、彼の命がつきるようにしました。
ガスが道に迷った猫を井戸で溺れさせようとしたとき、足をすべらせて自分が井戸の中へ落ちてしまいました。
エズラ・ドビンズとフィニアス・クイーグ
真ん中のガリガリがエズラで、左の太っちょがフィニアスです。
この2人はガス・グレイシーが施設にいた時の友人です。エズラはのぞき見の常習犯で、フィニアスは薬のインチキ商売をしており、2人とも裁判で施設へ送られました。
ガス、エズラ、フィニアスの3人は脱走しようと計画を練りました。エズラは断食し、ガリガリにやせたところで、鉄格子から手を伸ばして鍵を手にし、ドアを開けました。こうして、3人は脱出できましたが、それに気づいたガードマンがやってきました。ガスは足についた鉄の球と鎖でガードマンを倒し、フィニアスは発煙弾を投げました。
3人はヒッチハイクをして道路を下りました。馬車や乗り物が止まろうと止まらなかろうと、彼らは飛び乗りました。この3人は乗客の隣やひざに乗ったりしたので、乗客はギョッとしました。エズラはいつもぽっちゃりとした女性を狙い、フィニアスは一番アホ面をした人を選び、ガスは子どもたちと遊びました。
エズラとフィニアスはカーニバルで亡くなりました。フィニアスはショーでインチキ療法を披露しました。彼の死因は披露していたインチキ療法ではなく、ビンのふたで唇を切った際の、鉛中毒でした。
一方、エズラは太った婦人にこそこそと忍び寄ったのですが、彼女は彼に気づかず、座ってのしかかられたため、ガリガリに痩せていた彼は死亡してしまいました。
何年か後に、マダム・レオタはガスに、死んでも永遠に館に縛る呪いをかけましたが、一人ぼっちのガスを憐れみ、2人の友人の亡霊を呼びました。
それ以来彼らは家についていきたいと思った人を見つけるまで、あそこにいることに決めたのです。
出口近くにいる小さい女性がリトル・レオタです。
マダム・レオタの娘であり、館で生まれた最初の子でした。マダム・レオタは決して父親の名前を明かしませんでしたが、面白いことに、リトル・レオタがしゃべるときは、いつもマスター・グレイシーは黙りこくってしまいました。
幼少の頃からリトル・レオタは母親の降霊会の手伝いをし始めました。彼女はすぐに霊媒体としての才能を発揮しました。いつもやんちゃで、降霊会に来たお客様をからかったり、もてあそんだりしていました。
死に魅了されたリトル・レオタは、館の温室で街の人たちのために葬式を行う手助けをしました。しかし、彼女は本当にひょうきん者で、故人の遺体を見せたり花で埋め尽くしたりする前に、棺おけを釘止めしていました。
彼女のお気に入りのいたずらは、真夜中にすべての客室のドアを閉めて、ドアをたたくことでした。
リトル・レオタは、特に夜中に一人で長くぶらぶらと歩き回っていました。彼女は窓から窓へロウソクを置いたり、ロウソク台を持って永遠に続く廊下を歩いたりしていました。また、縁側に立って、風が顔に当たる感覚が好きでした。
リトル・レオタはすべての男性を魅了しました。館の3人の使用人だけはそうなるまいとしました。彼らは、仕事で彼女と関わりを持つことを恐れました。
相手にされないのを怒った彼女は、ある夜、3人を野生のガチョウを追いかけるように命じました。彼らが流砂で亡くなった時、彼女は木に登ってその様子を見ていました。ところが、枝が折れて彼女は川に落ちてしまい、溺れ死んでしまいました。彼女の体はその時、人形サイズにまで縮んでしまいました。
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